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ストックオプション

ストックオプション
これから未上場で巨大化するスタートアップが増えていくと、今の日本の(発行済み株式総数における)SO比率のスタンダードである10%は、従業員に配るには少な過ぎるんじゃないかなと。これでは大成功した時に、創業者とVCだけが儲かり過ぎる。(宮田さん)

楽しく学ぶ金商法(第2回:上場前のストックオプション発行②)

このようなスタートアップ企業が「いよいよIPO」となった際、このSOは思わぬ落とし穴になりかねません。IPOのために財務局に事前相談を行った際、財務局の担当者から「このSOの発行には金融商品取引法上の有価証券届出書の提出が必要だったのではないか」と指摘されることがあるのです。 このような指摘は決して珍しいことではなく、IPOの可否・スケジュールに重大な影響を与えかねない問題です。今回は、この問題について解説していきます。

前回(「楽しく学ぶ金商法」第1回)、スタートアップが創業後早期にストックオプション(以下「 SO 」)を発行する際の金融商品取引法(以下「金商法」)の留意点とし
A.SOの割当先が50名以上、かつ
B.割当先の中に役職員以外の者が1人でも含まれている場合
には、(原則として)有価証券届出書が必要となってしまう
という点を説明しました。

今回は上記 A.B. を満たすような SO を発行する際、どのような手法によれば有価証券届出書が必要とならないかを解説したいと思います。

SO特例の使い方

例えば、TMI㈱が① 100 ストックオプション 名の従業員に SO を発行するとともに、②顧問税理士 1 名に対して SO を発行しようとしているようなケースを想定します。

この場合、割当先は合計 101 名ですし( A )、割当先の中に役職員以外の者(顧問税理士)が含まれているため( ストックオプション B )、これを 1 つの行為と考えると有価証券届出書の提出が必要となってしまいそうです。

それでは、この①②を 2 つの行為として捉えて、

①についてはストックオプション特例により有価証券届出書不要
②については 50 名未満であるため有価証券届出書不要

金融庁の考え方

企業内容等開示ガイドライン4-2では、開示府令第2条第2項に定める会社の取締役等以外の者を対象に含めて新株予約権証券を付与する場合には、金商法施行令第2条の 12 に該当しないとされている。

例えば、同一の取締役会において、 第1号議案 として、 当該発行会社、完全子会社及び完全孫会社の役員使用人のみを対象として新株予約権証券を発行する旨の決議 がなされ、 第2号議案 として、 それ以外の者を対象として同内容の新株予約権証券を発行する旨の決議 がなされたと仮定します。

この場合、 第1号議案に基づく発行は金商法施行令第2条の12 に規定する場合に該当し、当該発行の対象者の人数は、通算の対象とならないという理解でよいか 、確認して頂きたい。(略)

基本的には、ご理解のとおりです。

上記①②を別議案として決議する場合には、両者を区分して考えること (①についてはストックオプション特例により有価証券届出書不要、②については 50 名未満であるため有価証券届出書不要という整理) が基本的には可能
という見解が示されているわけですね。
※理由はよく分かっていません。(理由不明は金商法の世界でよくあることです。)

では、どうすると良いのか

このように考えると「 なるほど、議案さえ分ければいいのか 」と誤解されがちですが、上記見解には「基本的には」という限定がかかっていることに留意が必要です。

そもそも、上記の金融庁の見解は①②のような行為が別個独立の行為とみなせることが前提となっています。議事録上で議案が分かれているといっても、同時に一括して SO の説明会等を開催していたりすれば、もはや別個独立の行為であるといえるかどうか怪しくなってきます。

そのため、 ①②で議案を分けるだけではなく、SOの発行回号を分ける(①を第1回A新株予約権、第2回B新株予約権のように)、SOの説明・協議も別々に実施する、などといったように①②が別個独立の行為であることを確保する措置をとっておくことが望ましい といえるでしょう。

ベンチャー企業のストックオプションと税制優遇

ベンチャー企業のストックオプションと税制優遇

株式会社プルータス・コンサルティング 取締役マネージング・ダイレクター 米国公認会計士
組織再編・有価証券発行・資本政策関連のアドバイザリー業務、有価証券の設計・評価業務、企業価値評価業務に従事し、多数の案件を手掛ける。企業研修・大学MBA講師。企業買収に係る第三者委員も務める。具体的プロジェクトには、TOB、株式交換等の組織再編アドバイザリー、資金調達アドバイザリー、非上場会社の資本構成の再構成コンサルティング、インセンティブ・プラン導入コンサルティングなどがある。
著書に「企業価値評価の実務Q&A」(共著、中央経済社)、旬刊商事法務No.2042、2043「新株予約権と信託を組み合わせた新たなインセンティブ・プラン」(共著)、ビジネス法務第19巻第4号「法務担当者のための非上場株式評価早わかり(第4回)」(共著)、企業会計Vol.68No.5「制度の変遷で理解する株式報酬諸制度のメリット・デメリット」、旬刊経理情報No1402「時価発行新株予約権信託の概要と活用可能性」(共著)、No1395「業績連動型新株予約権の設計上の留意点」(共著)掲載などがある。
2019年8月より京都大学経営管理大学院の客員教授に。

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