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トレンド系指標

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今後、数段階の審査を経て決定することになりますが、ヘッド教授は「これから政治的な困難がなければ、来年の今頃には人新世が公式なものになります」と期待を込め、講演を終えました。

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「人新世」の定義は、未来の研究者のために
―地質年代決定の最前線で活躍するマーティン・ヘッド教授の講演会より

地球の誕生からの膨大な歴史を刻んできた地質年代に、人類の活動や産業技術が地球に大きな影響をもたらした今の時代を、新たな年代「人新世」として書き加えるべきか―― 2000 年代初めに提起されたこの議論が、約 20 年を経て佳境を迎えつつあります。その具体的な検討をしている国際地質科学連合( IUGS )の要職に就き、議論の最前線にいるマーティン・ヘッド教授がこのほど来日し、 5 月 19 日に茨城大学で講演を行いました。招へいした理工学研究科(理学野)の岡田誠教授の研究室などの学生たちの運営のもと、その模様はオンラインで配信され、 100 名以上が参加しました。

「人新世」の始まりは?

「最初の問いは、人新世はいつ始まったと考えるべきか、ということです」と、ヘッド教授の解説が始まります。
人新世の始まりをいつとすべきかについては、更新世の後期である 13,800 年前からという案から 1964 年という案までありましたが、現在では、第二次世界大戦を経た技術の進展や産業のグローバル化により、人口の増加、エネルギー消費や経済生産性の大規模な拡大、それによる環境への影響といったトレンドが始まった 20 世紀半ば=" Great Acceleration "(大加速)をその区分とする考え方が優勢となっています。

Great Acceleration

「 Great Acceleration 」は歴史学者によって提唱された概念ですが、その後地球システム科学の研究により、それらの加速度的な変化を表すさまざまな科学的・統計的な指標――空気中の二酸化炭素やメタンの量、大洪水の頻度、さらにはマクドナルドの数まで!――があることが提示されました。また、核実験の影響によるプルトニウム 239 、あるいはプラスチックやセメントの増加というのも、地球環境に起きた大きな変化といえます。
こうしたさまざまな指標のうち、特に地質学の観点から重要な大気圏や海中の物質あるいは生態系の変化に着目し、研究と時代の定義付けを行っていくための議論が、この 20 年間行われてきたのです。

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もっとも、 46 億年という地球の長い歴史を踏まえたときに、「 Great Acceleration 」として起こっていることは、短いスパンの地質学的事象に過ぎず、歴史を新たに書き換えるようなものではない、という慎重な議論もあります。それらの見方に対し、ヘッド教授は、「地質学的な堅牢さをもったこれらの変化は、単なる地質学的事象ではなく、(これまでとは時代を画する)『エポック』と捉えるに充分なものです」と主張します。

「人新世」決定のゆくえ

地質年代の区分は、 IUGS がその時代における地理的要素の変化(化石やさまざまな物質の痕跡)をよく示す地層を「 GSSP (国際境界模式層断面とポイント)」として承認することにより、決定します。「チバニアン」は、その始まるとなる 77 万 4000 年前の様子をよく表す地層として千葉県市原市の地層が GSSP トレンド系指標 に選ばれたことによって、そう名付けられたのです。
ヘッド教授によれば、「人新世」の始まりを示す GSSP を検討する作業は既に進められており、現在、世界中の 12 のポイントが提案されているということです。その中には日本の別府湾も含まれています。ヘッド教授はそれらの各ポイントについて、どんな特徴があるかを解説してくれました(ただし、別府の状況についてはあまり詳しくないようです)。

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今後、数段階の審査を経て決定することになりますが、ヘッド教授は「これから政治的な困難がなければ、来年の今頃には人新世が公式なものになります」と期待を込め、講演を終えました。

将来の研究者のために正しい定義を

「私たち地質学者というのは、常に過去を扱うのです。対象とする学問です。ですから私たちにとって最も重要なことは、将来の何世代にもわたる地質学者たちが『人新世』をきちんと認識できるよう、その正しい定義を提供することなのです」

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